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テストバッテリーのことを少し

同業の方からの御相談のなかで、テストバッテリーが話題になることがあります。 複数の検査結果をどのように総合するかという御相談のこともあれば、どのような組み合わせで検査をするのがよいかという御相談のこともあります。 その方にどんな心理査定を施行するかは、職場によってケースによって、医師から指示される場合もあれば固定の組み合わせが決まっていることもあるかもしれませんし、クライアントさんからの要望にお応えする場合もあれば心理援助職が考えて決めることもあるでしょう。


春に卒業して就職したての方であると、どの査定をするか、迷うことがあっても仕方がないと思います。 そういう方にはどういうバッテリーを組むのがよいかという問いの前に、職場でできる検査の一覧表を自作することをお勧めします。 そこには、どんな検査があって、それぞれ何をはかる(何がわかる)もので、所要時間はどれぐらいで…といった、一覧表を作りながら、ツールの把握をしてみましょう。 現場によって、よく使われる検査も違えば、置いてある検査も一緒とは限らないからです。


一人職場ではなくて、一人職場でも前任者がいたとしたら、同じ職場で閲覧できる記録は、どんどん見させていただくとよいのではないかと思います。 他の同業者は、どういうケースに、どういう検査をしており、どのように所見をまとめているのか。 心理所見を書く時の言葉遣いは、自分で書くことも大事ですが、見て学ぶ部分も大きいと思います。 どのように表現すれば伝わるか、どのような表現がよく用いられているのか、見させてもらえる機会があれば逃す手はないです。 そうやって見せてもらうことができるなら、一つ一つの検査というパーツを、どのように立体的に組み合わせて総合所見に仕上げていくか、見て学ぶことができると思います。


そういう機会が、残念ながら少ない方もいらっしゃると思います。 その場合、検査を導入する目的を考えるところから始めるとよいのではないでしょうか。 ここでいう目的は、診療報酬のためであるとか、治療者の技術習得のためであるとか、そういう下心は抜きにして考えてください。 また、探索的な、その人の問題や人格や能力を把握するためという大きすぎる目的でもありません。 なにを確かめるため、という、仮説のことです。 うつ病やPTSDといった症状の程度を確認したいのか。人格傾向を調べたいのか。能力の程度や偏りを知りたいのか。対人関係の様式を明確にしたいのか。なんでしょう。 その仮説を立てる作業ができるようになると、その仮説にあわせた検査の組み合わせがおのずと決まってくるのです。


検査の中には、被検査者の方に自分で書いていただけるものから、治療者が一緒に協力して行うものもあります。 10分程度で終わるものから、場合によっては数時間かかるものもあります。 所見の分析だって、数値を簡単に出して結果を出せるものから、時間をかけて文書にしていくことが誠実なものもあります。 そのことを考えると、すべての人にいつも同じように時間と労力を必要とする検査ばかりの組み合わせで施行することは、割が合わないといいますか、合理的ではないと思うのです。 受ける側のリソースと、行う側のリソースと、両方のリソースには限界があるのが現実です。 時間も、気力も、体力も、お金も、限りがあるリソースなのです。 仮説をきっちりと立て、より簡易な検査で、少ない組み合わせで確かめることができればよし。それで必要があれば、より複雑で情報量の多い検査に導入する。そんな段階的な施行を組み立てられるようになればいいですね。


仮説を立てられるようになると、大体の検査の組み合わせのパターンもできてくるものだと思います。 まずは、職場で使われている検査の把握から。どうぞ、やってみてください。 そしてもし、仮説を立てることが難しかったり(これは個別ではないと説明しづらいです)、所見の総合の仕方がわかりにくかったり、ひとりで取り組むことの限界を感じた時には、スーパービジョンを利用していただければなぁと思います。



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