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執筆者の写真ふくち

治療しながら働くことについて

既にご存じの方もいらっしゃると思いますが、私、福地は現在、がんの治療を受けています。

闘病そのものは今に始まったものではなく、治療しながら働くことについて、がん患者であるということについて、今年の3月のシンポジウム『死と生に向き合う心理臨床』でもお話いたしました。


治療者自身がなんらかの治療を必要とすることが人生には起きうること。

若い時には考えてもみませんでしたが、発症から時間が経ち、徐々にしんどい治療も必要とするようになり、ままならないことが増えていく体験は、今も私を揺さぶり続けています。


2023年5月から、これまでとは違う抗がん剤治療を受けています。

最初の週は入院が必要で、5日間かけて点滴します。第二週、第三週は自宅で静養しながら、外来で週に一回、点滴を受けます。これが1コース。

この治療は最低4コースを受け、その後はまたどのような治療を受けていくのか、決まっておりません。

これまでとは違い、たびたび入退院を繰り返さなければいけず、心身共に負担が大きい治療で、必ずしも治療が予定通りに進まないことから、皆様の御相談を引き受けること、予定や予約を決めることのどちらも、今まで通りというわけにはいかなくなってしまいました。


こころの相談室ねこのてはオンラインの御相談ですので、工夫をしながらなんとか続けていけないかと考えましたが、自分一人でやっていくにはどうにも限界を感じてしまいました。

同業者である友人に相談したところ、ねこのての心理職向けのよろず相談というコンセプトに理解と同意をしてくださったので、協力を仰ぐことにしました。

大川さんという素敵な信頼できる仲間に、どのように加わっていただくのがよいか、申し込み方や料金など、一旦、いろいろと見直してから、改めてお知らせしたいと思います。

利用してくださる皆さまへの負担にならないよう、精いっぱい、配慮したいと思いますので、もうしばらくお待ちください。


こころの相談室ねこのてのこととは離れますが、治療しながら働くことについて考えていることを、もう少し書き足しておきます。

福地は、日中は精神科心療内科クリニックに勤務しています。

精神科心療内科のクリニックは感染症の治療には少し縁遠い部門になるとは思いますが、それでも、医療の端っこで働いている一人として、自分たちが感染源にならないように、職場で感染予防に留意して参りました。

ワクチン接種、マスク着用、手指消毒、換気、アクリル板など、できることはなんでもやってみるしか、自分たちと患者さんを守る方法はありませんでした。

感染症の分類が変わったとしても、感染症の症状や脅威が変わったわけではありません。

今、私は自分自身の免疫がおぼつかない状態になっているため、自分自身をどのように守るかも気遣わなければなりません。

それは、命がけで仕事をしてはいけないというだけではありません。

たとえば、患者さんから私が致命的な感染症をもらい、それによって大事が起きた場合、患者さんにスティグマティックな体験を与えてしまう危険性を持つからです。

この視点は現在の状況だからこそ、強く意識するようになりました。

そのため、書き留めておきたいと思いました。


上述しましたシンポジウムは、2023年7月10日までアーカイブで御覧になることができるそうです。

福地ががん患者当事者として、がんに限らずなにか治療を受けながら就労することを一緒に考えていただきたくて、自分の体験を話しているほか、梶原先生が緩和ケアの視点から、山下先生が生殖医療の視点から、議論を提供しています。

御興味のある方は、今のうちにどうぞ。





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