2020年5月30日に、福岡市東区のドレミ薬局さんの社員研修を行わせていただきました。 1時間ずつ3回のオーダーで、この日は2回目でした。最初の回は「聞く技術 聞かない配慮」と題しましたが、その時のアンケートから、もう少し診療内科や精神科、そして、カウンセリングのことを知ってもらいたいと考えたのです。
心療内科や精神科のこと、あるいは、精神疾患の種類などは、比較的説明しやすい事柄であるように思います。
特に、どんな疾患があるのだろう?と種類をあれこれ広く浅く御紹介するには、DSMやICDといった格好の材料があるわけです。
こんなときに、改めて、簡潔に説明することが難しいと考えるのが、「心理職とはなにをする人か?」ということと、「カウンセリングは何をすることか?」という二点です。
心理職とはなにをする人か。 一言で言えば、「こころの専門家」となるのかもしれませんが、こころって何? 専門家って何?という謎を残す点で、わかったようなわからないような回答であると思っています。 公認心理師の資格ができる前は、臨床心理士として、「臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助、調査・研究」という幅広い専門業務を行うことを説明していました。 公認心理師としては、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、
(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導 その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
を行うと、法律で決まっています。
だからといって、これを言って果たしてどれぐらい通じるのか、本質を説明しているのか、あまり自信がなかったりします。
ただ、言えることとしては、この職業だからと言って、こころは見えないし、読めないですよ? 超能力はありません。
カウンセリングは、臨床心理士の説明でいえば「臨床心理面接」、公認心理師でいえば「相談及び助言、指導その他の援助」に該当する部分になるでしょう。
心理療法、精神療法、カウンセリングと表現にも多様性があり、持たされる意味内容も、使い手によって異同のあるところです。
そういう専門家のなかでの議論や対立はそれはそれで意味のあることですが、それは横に置いて、専門家ではない人にどのように伝えるとしっくりくるか、考えるよい機会となりました。
カウンセリングの技法には様々なものがあること。
それらを通じて、無意識に関わろう、働きかけようとする営みなのだと考えています。
どんな疾患や問題の人にカウンセリングは有効であるか、どういう対処として有効であると考えられるのか。
そして、カウンセリングに向かない場合にはどういうケースがあり、どういった副作用があるのか。
私の講義は40分ほどだったのですが、みなさんがとても興味をもってくださり、熱心に質問をしてくださったため、全部で90分近くのセッションとなりました。
アンケートを読んでいても、強い関心を持っていただいたことと同時に、敬意を払ってくださるように感じて、ありがたく思いました。
個別性と多様性を大事にしている職業を概論として伝えるって、ほんとうに難しいですね。 簡潔かつ的確に言葉にする。けれど、言葉にしたときに捨象してしまうものをすくいあげ、ひろいあげ、取り逃がさないようにしたい。このジレンマは、カウンセリングで行われる営みそのもののように感じるのです。 どのように表現すればしっくりくるのか、私はまだまだ手探りを続けていかなければなりません。 3回目はどのような内容にするか、それを考えることも楽しみです。
