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人格理解のための統合アセスメント

  • 執筆者の写真: ふくち
    ふくち
  • 2025年12月20日
  • 読了時間: 5分

1. はじめに

臨床場面でクライエントを理解するためには、単一の理論や検査に頼ることはできません。人の人格は、生得的な特性と、発達史・対人経験・環境との相互作用によって形づくられる“多層的なシステム”です。

本テキストでは、臨床で実際に役立つ人格理解のための5つの視点をまとめています。特に、初学者が混乱しやすい「性格(traits)」「精神分析的タイプ」「ICD-11特性」「神経発達特性」「知的能力・認知機能」の関係を、理解しやすい順序で整理します。


2. 人格理解の“黄金の順序”

臨床でのアセスメントは、次の順番で行うのがもっとも精度が高く、誤診や誤帰属を防ぎます。

① 知的能力(IQと認知プロファイル)

まず、その人がどのような認知的資源を持っているかを理解します。処理速度、ワーキングメモリ、言語理解、視覚的推理など、思考の基盤となる能力です。

性格はこの“土台”の上に形成されます。

② 発達の偏り(ASD/ADHD/SLD/感覚特性)

次に、生得的な神経発達の特性を把握します。これは「性格」ではなく「情報処理のスタイル」です。

同じIQでも、世界の捉え方は大きく異なります。

③ 性格特性(Big Fiveなど)

生得的な認知特性や発達的特性の上に、経験を通じて“反応の癖”が形づくられます。

  • 外向性

  • 誠実性

  • 協調性

  • 開放性

  • 神経症傾向

Big5は“行動の傾向性”を示すものであり、病理ではありません。

例えば、

  • ASD傾向があっても協調性が高い人

  • ADHD傾向があっても誠実性が高い人は当然存在します。生得的特性と性格特性は異なる層にあります。

④ 対人関係のパターン

性格特性に、愛着経験・防衛の癖・関係の歴史が重なることで、反復される人間関係のパターンが生まれます。

精神分析的タイプ論は「なぜその行動が“必要”だったのか」を理解する枠組みです。

同じ性格特性でも、生育史が異なればまったく違う“関係の作り方”になります。

⑤ 生育史・愛着の質・マルトリートメントの有無

最後に、その人がどのような環境で育ち、どんな対人経験を重ねてきたのかを確認します。

ここは“発達的トラウマ”が形成される領域であり、人格の「柔らかい部分」がもっとも傷つきやすい場所です。


3. 三つの人格理論(Big5・精神分析・ICD-11)の対応関係

◆ Big5は「表層の特性」

◆ 精神分析は「深層の関係パターン」

◆ ICD-11は「機能障害の程度」

それぞれが扱う領域は異なりますが、互換性があります。

これらは「同じものを見ているが、焦点が違う」だけです。


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4. なぜ“この順番”でアセスメントするのか

答えは単純で、誤解を防ぐためです。

  • 認知の弱さ → 性格の弱さと誤認されやすい

  • 発達特性 → 人格障害と誤診されやすい

  • トラウマ反応 → 気分障害に見えやすい

  • 親密性の回避 → 無関心と誤解されやすい

  • 感覚過敏 → 神経質と見誤られやすい

このため、人格を理解する際には「上に載っている層」ではなく、一番下にある“生得的な土台”から順に見ていく必要があります。


5. 統合的な見方とは何か

人格は単なる性格ではありません。

人格とは、

生得的な認知特性 × 神経発達特性 × 性格特性 × 対人関係スタイル × 生育史

の“掛け算”によって生まれる、独自の風景である。

同じIQでも同じASD傾向でも、同じBig5でも、“ひとりとして同じ人はいない”理由がここにあります。


6. おわりに

臨床で人を理解することは、単なる分類作業ではありません。「この人はどう生きてきたのか」「なぜこの行動が必要だったのか」「何を守るために、どのように適応してきたのか」を読み解くプロセスです。

本テキストが、若手の心理職や学生が人格理解に苦手意識を抱かず、クライエントの個性と背景を尊重しながらアセスメントできるための一助となれば幸いです。


*****

以上は、実は、私がChatGPTと会話するなかで、AIが作ってくれたテキストです。最近は心理検査所見をICD11にのっとった人格特性の理解で記述するようにトライしており、Big5との違いと共通点、Cloningerとの違いと共通点などを整理している中で、こんな資料を作ってくれました。私のアセスメントの手順では、ここに身体的な疾患の有無も入ることを、作成時に忘れていたので、それも盛り込んでおくべきでした。


また、ChatGPTは、アセスメントの手順として、初心者向けには「まずBig5で大枠をつかむ」ことを勧めていました。このステップがなかなかよくできていると思いましたので、こちらも貼り付けておこうと思います。


ステップ1:まずBig5でざっくり性格の輪郭を見る

 明るいか静かか(外向性)

 不安定か安定か(神経症傾向)

 堅実か大ざっぱか(誠実性)

 思いやりか率直か(協調性)

 新奇性好きか保守か(開放性)

これなら「観察レベル」で分かる。初心者が最初に“間違えにくい入口”。


ステップ2:精神分析的な関係パターンを見る(防衛・反復される対人パターン)


ステップ3:ICD-11で臨床的偏りを判断


ステップ4:必要に応じて発達特性・IQへ踏み込む


ステップ5:生育史を丁寧に聴く


これが、AIのおすすめの手順だそうです。観察から始めるというのは理にかなっています。そして、事例と出会い、経験を積み重ねていくと、自分自身の判断基準が磨かれ、精度があがっていきます。そうすると、手順がおのずとかわってくるでしょう。 ささやかな記事ではありますが、みなさんのお役に立てば嬉しいです。


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